
側高神社のある空港の第2ゲートを出て、一般道を佐原方面に向かう県道44号線に入る
抜け道の途中に「東峰神社」はあります。
取香の側高神社 ⇒
この抜け道に面して空港反対派の土地が残っており、一時は空港反対闘争の象徴的な
場所となっていたこともあって、常に機動隊の監視下にあります。
利用するのは地元住民や空港関係者に限られているので、あまり交通量はありません。
この道は第2滑走路への誘導路の真下をくぐるので、警備上の問題から道の両脇には
高い塀が続いています。

この塀に囲まれた一角に「東峰神社」と書かれた小さな標識が立っています。
「この先行止まり」とも書かれていて、入って行く狭い道にも高い塀が・・・
興味はあるものの、いつも素通りしていました。

今回は思い切って「東峰神社」を訪ねます。
神社への道は曲がっていて先が見えません。
見えるのは威圧感のある塀のみで、奥には機動隊が待っているかも知れません。
入って行くにはちょっと勇気が要ります。

圧迫感のある塀の道を100メートルほど進むと、「東峰神社」はありました。

「東峰神社(とうほうじんじゃ)」のご祭神はちょっと珍しい「二宮尊徳」。
以前、津田沼町(現習志野市)にあった「航空神社」を昭和28年に遷座したもので、この
「航空神社」は民間航空のパイオニア、伊藤音次郎氏が昭和12年に伊藤飛行機研究所内
に空難者を祀るために建立した神社です。
戦後伊藤氏は成田市の東峰地区に入植、航空神社も移設されて「東峰神社」となりました。
戦後になってから入植が行なわれた東峰地区には神社がなかったため、ここが住民たちの
祈りの場所となってきました。

手水盤に水はありません。

「皇紀二千六百年記念」と記された板碑。
「皇紀」とは神武天皇の即位紀元で、2600年は昭和15年でした。
社友會とも記されていますから、多分伊藤飛行機時代に建立されたものを移設
したのでしょう。

いつのころに載せられたのか、10枚ばかりの1円玉が頭上で錆びついている狛犬は
困ったような、怒っているような表情です。

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左の狛犬はこんな場所に嫌気がさして逃げ出したのでしょうか・・・。


「東峯神社」と記された石柱の裏側には、セメントが埋め込まれた
「航空神社」の文字が・・・
津田沼町から持ってきて、裏側に新しく「東峯神社」と彫ったのでしょうか?
それにしては石柱が新しいような気がします。
ここに遷座した時は「航空神社」のままで、しばらくしてから入植者たちの拠りどころと
なるよう、地名をとって「東峯神社」に変えたのかもしれません。

「東峯神社」か「東峰神社」か・・・
「峯」とあるのはこの石柱のみで、この辺りの地名は「東峰」、鳥居の額束も「東峰」です。

ちなみに、こちらは航空科学博物館の敷地内にある「航空神社」です。
航空科学博物館 ⇒


質素な社殿には神額もありません。
千木は水平に切られ、堅魚木は三本です。
二宮尊徳は男性ですが、千木は水平に切られて女性神を表しています。
例外もあるようですし、堅魚木は男性神の奇数なので、まあ、堅いことは言わない、言わない。


2基の常夜燈の間はコンクリートで舗装してあります。
2004.4.15と棒で落書きしたような日付が残っています。

ぐるりと神社を囲む塀のあちこちに、金網を張った覗き窓のような場所があります。
狭い神社への道に入らずに、空港の敷地側から監視できるような工夫です。



神社の屋根をかすめるように第2滑走路に着陸する旅客機が飛んでいます。
轟音が小さな社殿を襲います。

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明け方に神社の入り口に立つと、九十九里浜側から飛んでくる旅客機が、この角度で
数分おきに侵入してきます。



本来ならば空の安全を祈願する象徴的な神社として、人々の信仰を集めたであろうに、
何の因果か、空港敷地内にポツンと取り残され、訪ねる人もいない「東峰神社」。
境内に咲く山茶花の花が健気に咲いています。

※ 東峰神社 成田市東峰
空港第2ビルから千葉交バス 栗源行き 新田下車徒歩2分
空港第2ビルから徒歩約45分
バスは本数が少なく、徒歩では歩道が整備されていないので、
車で行かれることをお勧めします。 特に駐車スペースは
ありませんが、何とか2台程度は止まれます。
行かれたのですね。
しかも飛行機までの距離が近く、迫力ありますね。
ここで飛行機の撮影してたら機動隊に職務質問とかされますかね?
勇気をもっていつの日か私も行ってみたい!
とても参考になりました!
本当にすごい迫力です。
特に神社の正面左上を通過する飛行機は機体番号が読めそうです。
この近辺は以前はちょっと立ち止まっただけで機動隊が来ましたが、
今はそれほどでもありません。免許証など身分を証明するものを提示
すれば大丈夫です。(案外フレンドリーな対応です)
なお、飛行機を撮るには風向きが問題で、東峰神社の場合は西風で
芝山方向から着陸侵入する時でないと、はるか上空を上昇する機体
しか見えません。
ご案内仔細にわたり、しかも達筆。
元は東峰神社は「空難者を祀る神社」として、建立され、
曲折があって成田で住民の祈りの場所になる。
それが今は寂しい神社となっている。
現代の花型、世界中の航空機が飛来。
直下に何があるかも知らないで轟音を落とす。
数奇な運命に出会ったものです。
成田に縁あって、訪れる人には、他のl案内にはない素敵な書き物。
今では「エッセイ」と言うのでしょうか。
先だってのリンク、既につけているようで恐縮です。
私は体力がなくブログ活動も儘なりません。
どれ程にかお伺いできるか知れません。
素敵なブログとして、私もリンクさせて頂きました。
応援して帰ります。PP。
ご丁寧なコメントをいただき、ありがとうございます。
健康のために歩き回らなければ書けないテーマで始めたブログですが、
尽きぬ好奇心に突き動かされて、今では生き甲斐となっています。
勉強不足で間違いも多々あると思いますが、焦らず精進するつもりです。
ijin様のブログも楽しみにしております。
健康に十分ご留意されて、ブログ生活をお楽しみください。