
「松虫寺」の山号は「摩尼珠山」、真言宗豊山派のお寺です。
天平十七年(745年)行基の開創で、開創時は三輪宗、後に天台宗に改宗し、
さらに現在の真言宗に改宗されました。
1270年の歴史と伝説を秘めた古刹です。
「三論宗(さんろんしゅう)は、仏教の宗派の1つで、インドの龍樹の中論・十二門論、
その弟子提婆の百論の三論を所依(基盤とする)の経典とする論宗(経を所依とせず、
論を所依とする)である。空を唱える事から、空宗とも言う。その他、無相宗・中観宗・
無相大乗宗の呼び方もある。」 (ウィキペディア 三輪宗より)

松虫寺は松虫姫伝説で知られています。
あちこちに紹介されている松虫姫伝説は、それぞれ少しずつ内容が異なっていますが、
要約すると次のようになります。
奈良時代、時の聖武天皇の第三皇女、松虫姫(不破内親王)が重い病にかかり、天皇は
あらゆる手を尽くして治療を施しましたが、病は重くなるばかりです。
ある夜、姫の枕元に下総萩原郷の薬師仏が現れ、我にすがれと告げました。
万策尽きていた天皇は、藁をもつかむ思いで松虫姫を下総に向かわせましたが、牛の背に
揺られながら行く道中には数々の難儀が待ち受け、従者の多くは逃げ去って、一行が
萩原郷にたどり着いた時には、乳母の杉自と数人の従者だけになっていました。
姫は見つけた小さな薬師堂のかたわらに庵を結び、病の快癒をひたすら祈る日々を数年
過ごした後、ついに祈りが通じて難病が全快するという奇跡が起こりました。
ようやく都に帰ることになった姫は、一刻も早く帰るために馬で帰ることにし、すでに年老いた
乳母と牛をこの地に残して、村人たちに見送られて都へ帰って行きました。
乳母はその後も村人たちにいろいろな技術を教えて、この地に馴染んでいましたが、
姫と一緒に帰りたかった牛は悲しみのあまり自ら近くの池に身を投じてしまいました。
村人はその牛の心情を憐れんで、牛が身を投げた池を「牛むぐりの池」と呼んだそうです。
姫の快癒を喜んだ聖武天皇は、僧行基に命じてこの地に「松虫寺」を建立させました。
その後、松虫姫は運命に翻弄された不遇な人生を送りましたが、遺言によって松虫寺に
遺骨が分骨されました。

手水盤には寛保元年(1741年)と記されています。
徳川吉宗の時代です。

仁王門は享保三年(1718年)に改築されたと記録にあります。
どっしりとした質感のある建物です。



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左右に立つ仁王様は大きく、筋骨隆々です。
(金網の目が細かくてうまく写せないので、下に空いている小さな穴から写しました)



鐘楼は境内の端の目立たぬ位置にあり、自由に撞くことができます。
「南無七仏 薬師如来」
「一打鐘聲當願衆生」
「脱三界苦得見菩堤」等の文字が記され、
撞木の反対側に「摩尼珠山松蟲寺」と記されています。

この本堂は寛政十一年(1799年)に建立されました。
ご本尊の薬師如来像はカヤ材の一本彫で、平安時代末期の作と考えられています。
国の重要文化財に指定されていて、中尊に薬師如来の座像を、両脇に三体ずつの
立像を配する七体からなっており、他には滋賀の「鶏足寺」(現在は廃寺)にのみあるという、
大変珍しいものです。
中尊座像は54.3センチ、六体の立像は78センチという小振りな仏様です。
木造薬師如来座像と薬師如来立像(千葉県教育委員会ホームページ) ⇒

本堂の寺額には「瑠璃閣」とありました。

絵馬には松虫姫と牛の絵が・・・

本堂に掲げられているこの奉納額は、彩色が剥げてよく見えませんが、松虫姫が
下総へ向かう道中の出来事を描いたもののようです。
遠州で姫の一行を襲った山賊に、姫を乗せてきた牛が猛然と襲いかかって姫を
助けたという伝説を題材にしたのではないでしょうか?


六柱の神々を祀る六所神社。
その昔、国司はそれぞれの国内の神社を一宮から順に巡拝していましたが、
国府近くに国内の神を合祀した総社を設けてまとめて御参りを行えるように
したものが六所神社であると言われています。
千葉県内には市川と舘山に六所神社という名前の神社があるようです。

風化が進んでいるこのお地蔵さまに記された年号は、宝暦七年(1757年)と読めました。

墓地の入り口に立つこの宝塔に刻まれた年号は、安永九年(1780年)と読めます。

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墓地には、元和、寛文、宝永、元文、宝暦、天保などの年号が刻まれた古い墓石が・・・。


本堂の隣には松虫姫神社があります。
小振りなお社ですが、華やかな色彩に彩られています。

千葉ニュータウンの開発に取り残されたような地域の一角に松虫寺はありました。
次回は松虫姫伝説を中心に紹介します。
ここ今度時間があったら行ってみたいと思っていました。
でも少し遠いのでついでにという訳には行かなそうです。
続きの紹介楽しみにしています。
ちょっと分かりにくい場所ですが、なかなか味のあるお寺です。
龍腹寺などと一緒に訪ねられると良いかもしれませんね。
「松虫姫伝説の松虫寺」
面白い記事のよいうですが、些か疲れ気味。
少し動けば。すぐ疲れます。
只今周囲は秋色。
出歩きたくなって、我慢でききません。
またお伺いさせて下さい。P。
訪問いただき、ありがとうございます。
ご無理をなさらず、お過ごしください。
私もijin様とはそれほど違わない年齢です。
ブログの更新に追いかけられて、少々無理をした時もありましたが、
出かけたい時に出かけるのが一番です。