
前回に続いて日本寺を紹介します。
関東三大檀林~日本寺(1) ⇒



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本堂の奥を左に進むと多くの鳥居とともに三つのお社が見えます。
中央にあるのが「妙見七面宮」で、この地方の豪族・千葉家の守護神です。
檀林に学ぶ学僧にとっての学業成就の神様でもあったようです。
仏教を学ぶ僧侶の卵が、学問を修められるよう神様にお願いする・・・
日本人の宗教観のおおらかさが表れているようです。
明治42年の「境内全景図」によれば、妙見宮は「當山鎮守」と書かれています。

寛文十年(1670年)の常夜燈


妙見宮の鳥居の脇にある小さなお社。
鰐口も小さいものですがとても良い音がしました。
手前の常夜燈に七面大明神と刻まれています。

右手にも新しいお社がありました。

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妙見宮を挟んで左右に二つの神社が並んでいます。
豊田稲荷と岡田稲荷で、夫婦稲荷と呼ばれ、家内安全・五穀豊穣・商売繁盛、
除災得幸の神様です。
右側にある豊田稲荷の石の鳥居は手前から平成23年、昭和7年、大正10年に
寄進されたと記されています。
左側の岡田稲荷の石の鳥居は平成13年、昭和7年、大正10年と記されています。


豊田稲荷の前のキツネの足元には子キツネがいました。


岡田稲荷のキツネは毬にじゃれているようなポーズです。
大正5年と刻まれています。

空の祠には寛政元年(1789年)と刻まれています。

豊田稲荷と岡田稲荷の間(妙見宮の裏手)には、数えきれないほどの
小さなキツネの置物が納められています。



境内に隣接して公園が整備されています。
けっこうな広さがあり、格好の散策場所です。

この一帯は「フクロウの森」と名付けられていて、フクロウをはじめ、キジ、ヒヨドリ、
コジュケイ、ホオジロ、など、たくさんの野鳥を観察することができます。
後日、日本寺の入り口に大きな顕彰碑があった渋谷嘉助の旧宅を探してみました。
国の指定文化財だということを知ったからです。


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日本寺からは少し離れた場所に旧宅はありました。
重厚な煉瓦造りで、個人の住まいとしては異色の建物でした。
説明板などはなく、保存状態も良くないようで心配です。
渋谷嘉助旧宅(千葉県教育委員会ホームページ) ⇒
渋谷嘉助については「多古町まちづくりテラスの会」のブログに書かれているものを
見つけましたので引用します。
『大正14年、渋谷財団法人を設立。基金10万円の利子は疲弊している村財政予算に
組み入れられ、村民税の軽減に役立ったし、村出身の青少年育英資金としても多額の
寄付をする。嘉助は実業家であったが、社会公共に事業も忘れなかった。
岩手県の石灰石採石事業をすすめたころのことで、大船渡湾に珊琥島(さんごじま)
という風光明媚な島があり、この島を嘉助は早くから手に入れていたが、水産物の宝庫で
ある水域が島の周囲にあるところから、この島を挟む両岸の大船渡と赤崎両村の漁民は
長い間島を挟んでの争いが絶えなかった。かねてよりこれを心痛していた嘉助は珊琥島を
両村の共有物として活用するように寄付しようと村民の代表者に提案した。狂喜感激した
両村民。こうして長い間の争いは解消され、明るい漁業の場が生まれたのである。』
珊琥島は無人島ですが、国指定の名勝となっています。

もしやと思って日本寺に向かい、気になっていた参道入り口の閉ざされたお墓を
覗いてみました。
渋谷嘉助のお墓が日本寺のどこかにあるはずだからです。


何とか中を確認したくて、顕彰碑側から裏に回ると生垣の切れ目があり、
そこからは中が良く見えます。
立派な墓石に「従六位 渋谷嘉助」とありました。
地元に尽くした嘉助は特別な場所に葬られていたのですね。


学問の場、研鑽の場として栄えた日本寺。
境内に佇んで目を閉じると、森の奥から学僧達の読経や議論する声が
かすかに聞こえてくるような気がします。

※ 正東山日本寺 香取郡多古町南中1820-1
JR成田駅より JRバス八日市場行き 南中下車 徒歩10分
東関東自動車道成田インターより30分 駐車場有
※ 渋谷嘉助旧宅 香取郡多古町北中91
JR成田駅より JRバス八日市場行き 南中下車 徒歩約30分
日本寺より徒歩約20分
成田から多古町へ移動ですね。
この日本寺は6月頃に行きました。
紫陽花寺ですね。
飯高壇林もいかれたのでしょうか。
説明も詳しく興味深いです。
そして渋谷嘉助旧宅の赤レンガは興味深いです。
またいけるかはわかりませんが近くにったら探してみます。
紹介ありがとうございます。
実は渋谷嘉助についてはあまり知りませんでした。
顕彰碑の存在は知っていたのですが、今回あらためて
調べなおしています。
いずれ彼についても書こうと思っています。