創建・開基は不詳です。
『1311(応長元)年の銘のある梵鐘(宗吾霊堂宝物殿に展示)に「下州印東庄八代郷
船方薬師寺」とみえ、更に1486(文明18)年に関東を旅した道興准后が、この寺に
豆留しながら印旛沼の風景を漢詩に詠んでいることが「廻国雑記」にみえる。「成田参詣記」
には仁王門・薬師堂・三社権現など境内の伽藍が図入りで紹介され、江戸時代には
この地方屈指の大寺であった。』(成田の地名と歴史)

山の中腹を切り開いた僅かな平地に本堂があります。
このお寺は、もと麻賀多神社惣社の神宮寺(神仏習合思想によって、神社に付随して
建てられたお寺)で、現在より北方にあったと伝えられています。

仁王門は近年補修が行われたようで、本堂に比べて立派に見えます。

手前の階段横に梵字が刻まれた石板が立っています。


阿形像の表情

吽形像の表情
近年、解体修理を行った際に、腕と体の部材に大永二年(1522年)と
天正二十年(1592年)の修理墨書銘が見つかりました。
右側の阿形像は1.7メートル。
右腕をさげ、左手で金剛杵を振り上げています。
左側の吽形像は1.71メートル。
左手を握りしめ、右腕を曲げて掌を開いて構えています。
この木造金剛力士立像は県の指定文化財になっていて、
応長年間(1311~1312)の制作と考えられています。
小ぶりの像ですが、力感があり、表情も豊かです。

仁王門の脇に置き忘れられたように手水盤がありました。
水も引かれていません。
延享三年(1746年)と刻まれています。

(千葉県教育委員会ホームページより 薬師如来 ⇒ )
ご本尊は千葉県指定文化財の木造薬師如来坐像です。
像高は54.3センチで、引き締まった表情に見えます。
「ヒノキ材、前後割矧造で、玉眼がはめこまれた高さ54.3㎝の坐像である。表面の仕上げは、
現状では素地となっているが、薄く朱をかけた痕跡がみられる。
ゆるやかに面を取った幅の広い胸腹部の造りや、胸を少し後ろに引き起こした姿勢は、
平安時代後期の余風を残している。ただし、やや眼が吊り上がり、頬のしまった面相や、
彫り込みの深い衣文には鎌倉時代の作風が顕著に見られる。こうした点から考えて、
制作時期は、13世紀前半には遡るものと考えられている。
また、光背と台座も当初のものを備えており貴重である。」(成田市教育委員会ホームページ)



本堂の正面がガラス張りになっていて、中に安置されている仏様が良く見えます。
阿弥陀如来座像と観音菩薩、勢至菩薩の阿弥陀三尊です。
穏やかなお顔の仏様です。
ご本尊の薬師如来は後方の厨子の中に居られるようです。

本堂左手に立つ3つの塔には梵字が刻まれ、明和二年(1765年)に建立されました。

3つの石塔の後ろの階段を登ると、祠がありました。
中には何も無く、何の祠かは分かりません。


さらに急な山道を登ると子安観音を祀った祠がひっそりと建っていました。
滑る足元を気にしながら、急な山道をここまで登ってお参りする方がいたようで、
真新しいお札が置かれています。
観音様には宝暦四年(1754年)と記されていました。
境内に戻ってきました。
あらためて本堂を眺めると、軒に何やら動物らしき彫刻が見えます。
辰(タツ・龍)

卯(ウ・兎)

午(ウマ・馬)

申(サル・猿)

酉(トリ・鶏)

亥(イ・猪)

十二支でした。判別できるものだけ載せてみました。



境内の右側に目をやると、立派な宝塔と地蔵堂があります。
宝塔には宝暦5年(1755年)、お地蔵様には文化十年(1813年)と記されています。
境内に鐘楼はありません。
県の有形文化財に指定されている、応長元年(1311年)に造られた梵鐘は、
現在宗吾霊堂宝物殿に置かれています。

(千葉県教育委員会ホームページより 梵鐘 ⇒ )

「成田参詣記」に記された風光明美な景色はもうここにはありません。
描かれた当時はこの場所より北方にあったのでしょうか?
それにしても、沼は干拓され、人が住み、木々が植えられて、景色は一変しています。


境内の端にある「船形の大シイ」と呼ばれる大木が、遠くからも見えます。
幹周りは6メートル、高さは15メートルもあり、市の天然記念物に指定されています。
薬師寺は細い曲がりくねった道の途中にあり、分かりにくい場所に建っています。
かつての面影はなく、無住のため寂れてはいますが、蝉しぐれの中に佇むこのお寺では
時間が止まったような感じがします。
※ 船形山薬師寺 成田市船形219-1
京成・公津の杜駅からコミュニティバス 北須賀ルート
印東体育館下車 すぐ (本数が少ないので要注意)
北総線成田湯川駅から徒歩約40分
とうとう僕でも分かるメジャーなお寺がやってきたwww
とは言っても教科書でしか見たことないけどww
十二支も一体一体が細かく掘られていて凄いですねww
また楽しみにしてます!!
それなりに雰囲気のあるお寺です。
探せばまだまだこんなお寺が見つかりそうです。
薬師寺の丁寧な解説内容に、訪れた時によく見ていなかったもの、気がつかなかったものに気付かされ、ああ、そうだったのか~、もっとじっくりたどってみればよかったな~と。
本堂には十二支も彫られていたのですね。私も写真に撮りたかったです。
今後も訪問させていただきます。よろしくお願いします。
これからは巨木・古木に出会った時は、もう少し丁寧に観察しようと思います。