JR成田駅から出発しましょう。

JR成田駅の東口に地元では「権現山」とよばれる一角があります。
駅前ロータリーの左奥、交番の後ろになります。
この一帯は鉄道が通るまではうっそうとした森だったそうです。

「湯殿権現神社」で、ご祭神は神仏習合の神「牛頭(ごず)天王」です。
牛頭天王といえば京都・八坂神社、八坂神社と言えば「祇園祭」、
成田祇園祭でもこの権現神社の境内で御神輿が一晩夜明かしする習わしがあります。
何かつながりがあるのでしょうね。


詳しく見てみたいのですが、「聖地につき関係者以外の立ち入り禁止」の立て札が
睨みを効かしていて、長居はし難い雰囲気です。

ロータリーの左手に「成田駅東口」の項で紹介した、
成田山と縁が深い歌舞伎役者の像があります。
すっきりしていて躍動感のある舞姿です。

歌舞伎役者の像を左に曲がると直ぐに「太子堂」があります。



表参道に入って直ぐの場所のため、ほとんどの人が気付かずに通り過ぎて行きます。
残念ながら説明板等は無く、調べても由来等は分かりません。
狭い境内ですが、右手に小さなお社があります。
「入定大師 高野山奥之院」の掲額がありました。

まだ新しい蔵造り風の建物があります。

なんと、銀行でした。
確か参道に入って3、4分ほど歩いたところにあったはずですが、
移転してきたばかりなのですね。
街並みの景観を考えた建築には拍手です。

景観を考えた、と言えば、コンビニの看板の色も参道に溶け込んでいます。
店は通りから少し引っ込んだところにあって、あの全国統一のデザインですが、
通りに出ている看板は地味なこげ茶色です。

コンビニの隣は成田の地酒「長命泉」本舗です。


知る人ぞ知る、参道名物「甘太郎」です。
いわゆる“大判焼き”ですが、とにかくおいしい。
店先の行列が途切れることはありません。

空港が近い成田山には外人観光客も多く訪れます。
横文字の店も少しですが進出してきました。
外国からのお客さんがたくさん来てくれるのはとても良いことだと思いますが、
門前町や参道の雰囲気が壊れないか、ちょっと複雑な思いがします。



沿道の両脇には十二支の石像が一定間隔で並んでいます。
自分の干支を見つけて石像を撫でる人が多く見られます。


「なごみの米屋」として知られる「米屋総本店」は表参道のほぼ中間点にあります。
羊羹だけでなく、いろいろな和菓子が売られています。
遠方からの参拝客はみんなここでおみやげを買って行くようです。

店の脇を奥に進むと「羊羹博物館」があります。


木造2階建ての小さな博物館ですが、羊羹の製造工程や、
昔の道具、懐かしい広告などが展示されています。

博物館の奥は米屋の工場です。
ここで「大納言」をはじめ種々の羊羹や和菓子が作られています。

工場敷地の一角に小さな公園があります。



現在成田山の大本堂に安置されているお不動様は、初めは公津ヶ原(現富里市)にありましたが、
長引く戦乱等のため荒れ果ててしまいました。
見かねた名主たちが相談し、成田村の諸岡三郎左衛門が不動像を自分の敷地内に遷座し、
井戸水をお供えして大切にお祀りしたのがこの場所です。
諸岡三郎左衛門は、ここ米屋の創業者の遠縁にあたります。

米屋のとなりは後藤だんご店です。
弘化二年(1845年)創業だそうです。
もちろん、お店は何度か建て直されているのでしょうが、
それにしても貫禄充分のお店です。

だんご屋さんからちょっと先に以前紹介した「薬師堂」があります。
ここから表参道は右に折れ、総門に向って坂道を下ります。
次回はこの続きで表参道を総門まで紹介します。