「醫王殿」は成田山新勝寺の一番新しい堂宇です。

【 2017(平成29)年に開基1080年祭記念事業として建立。木造総檜、一重宝形造の御堂
には薬師瑠璃光如来、日光菩薩、月光菩薩、十二神将が奉安されています。健康長寿と病気
平癒の祈祷所です。】 (成田山新勝寺ホームページ)

派手さはありませんが、装飾もしっかりと施されています。

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唐破風棟鬼飾りには輪宝がはめ込まれています。
なかなか迫力のある鬼瓦です。

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一つ一つに寺紋の「葉牡丹」が焼き込まれています。

【平成二十九年(二〇一七)開基一〇八〇年祭記念事業として建立。御本尊薬師瑠璃光如来
は、大醫王如来とも称され、古来、病を癒やし苦痛を取り除き、寿命を延ばす功徳がある。
健康長寿、息災延命の仏様として信仰される。 脇侍の日光菩薩は太陽のような光明を放ち
心の闇を取り除き、月光菩薩は、月のような穏やかな慈悲の心で煩悩を鎮めて下さり、眷属
の十二神将は、十二の方位を守り干支の守護神として信仰される。】
台の坂上の「薬師堂」におられた「薬師如来」がこちらに移られ、「平和大塔」に置かれていた
十二神将像も眷属として移されて祀られています。

(台の坂上の「薬師堂」 2014年3月撮影)


(2015年12月)
この「薬師堂」は明暦元年(1655)に建立された当時の本堂で、「明暦の本堂」ともよばれます。
元禄の本堂(現在の光明堂)、安政の本堂(現在の釈迦堂)と本堂が新しく造られる度に移転を
繰り返し、現在の場所へ。
現存する成田山新勝寺最古の本堂です。


「醫王殿」のすぐ隣にある「平和大塔」。
十二神将像は醫王殿に移される前はここに祀られていました。
成田市内の広い範囲から見えるこの塔は、昭和59年(1984)に建立され、境内では3番目に
新しい堂宇です(2番目は「聖徳太子堂・平成4年)。


醫王殿の裏には一本の白木蓮が植えられています。
樹齢100年、樹高7メートルで、東京・小石川植物園、明治神宮外苑の樹とともに、「白木蓮の
三銘木」と言われています。
毎年3月には美しい純白の花を開きます。


「醫王」とは、「薬師如来」の異称です。
「薬師如来」は東方の瑠璃光浄土の教主で、病苦に苦しむ人々を瑠璃光で照らして救います。
現世利益をもたらす「薬師如来」は、西方極楽浄土の来世利益を説く「阿弥陀如来」とともに
多くの人々の信仰を集めています。

手水場はシンプルでガッシリした造りです。

「光明堂」から「醫王殿」へ向かう途中にある弘法大師像。

以前はうぐいす亭前の外周路から「醫王殿」の前に入れたのですが、最近になって外周路が
石塀で囲まれてしまい、額堂の前からしか入れなくなりました。
「額堂」から見ても、「光明堂」と「平和大塔」しか見えないため、私のような足の悪い者には
残念ながらとても遠い感じがしてしまいます。

(2018年2月)

(2019年11月)


白く輝いていた総檜の真新しい堂宇は、2年が経って落ち着いた色になってきました。
境内で一番古い光明堂と鐘楼(元禄十四年)から、317年後に建立された「醫王殿」が、
柱や壁に時代の色を染み込ませて、お参りする人々に悠久の時の流れを感じさせるには、
あと300年も必要なのです。

内部の撮影は禁止ですが、堂外の離れた場所からでも開かれた扉の奥に如来様が見えます。
狭い堂内ですから、薬師如来像と脇侍の日光菩薩・月光菩薩、そして眷属の十二神将像も
手の届きそうな距離で拝むことができます。
ありがとうございます。薬王寺の本堂も新しくなったのですね。しばらく訪ねていなかったので知りませんでした。今度行ってみようと思います。