
仁王門から階段を登り、新勝寺の境内に出て香閣越しに正面の大本堂を眺めるとき、
右手に華麗な装飾の3つの建物が目に入ります。

三重塔を前面に、一切経堂と鐘楼が並んでいます。
質実にして豪壮な大本堂とのコントラストは、いっそう目を引きます。

三重塔は正徳二年(1712年)に建立され、
宝暦七年、享和元年、安政五年と三度の大修理が行われましたが、
昭和58年に古文書に書かれた資料を基に復元されました。

極彩色の紋様に彩られたその姿は、息をのむ美しさです。


屋根の下には黄金の龍がたくさん並んでいます。

幸運なことに、偶然正面の扉が開いているところに来合わせました。
中には金剛大日如来の五つの知恵を表す「五智如来」が安置されています。
宝生如来、阿弥陀如来、阿閦(あしゅく)如来、不空成就如来が、
大日如来を中心に並んでいます。

中央の大日如来です。
小さいながらも金色に輝く美しい仏様です。

扉には見事な透かし彫りが施されています。
三重塔は五重塔とは違った安定感が感じられます。
それでも25メートルと、けっこうな高さのこの塔は、
見事な装飾に見とれた人の首を痛くさせるには十分な高さです。

一切経堂は享保七年(1722年)に建立されました。

中央の転輪経蔵には一切経約二千冊が収められ、
この周りを一周すれば、その全てを読んだほどのご利益があると言われています。
以前は中に入って下の台座を押し回すことができ、
実際に経蔵をひと回りできたのですが(私も何周かしたことがあります)、
残念ながら今は中に入ることはできません。


外壁にはいくつもの見事な彫刻がはめ込まれています。

都合の良い時だけ神仏に願い事をする私としては、
もう一度経蔵を回ってご利益を得たいと願っています。

鐘楼は寛永年間以前に建立されたようですが、
元禄十四年(1701年)に再建されました。

こちらも見事な装飾です。

中へは入れませんが、梵鐘へは狭い階段を登ります。

現在の梵鐘は昭和48年に設置され、それまで使われていた梵鐘は
現在大本堂後方の高台にある「額堂」に置かれています。
※ 「梵鐘の設置は昭和43年です」とのご指摘をいただきました。 訂正させていただきます。
ご指摘、ありがとうございました。

この鐘の音は、何んとも言えぬ重く、深い音色です。
特に夕暮れの境内に浸みるように響く鐘の音が、私は好きです。

大本堂前の広い境内の中で、
三重塔、一切経堂、そして梵鐘の一群は、
ひと際華やかな一角になっています。
1700年代に建立されたとは思えないほど奇麗ですね!!
昭和58年に復元工事を行った際に採色をし直しました。
それにしても30年以上経っていますが、成田山の中では
ひときわ目立つ華麗な建物です。
たまたまその場に居合わせたのですが、とても幸運でした。
何度も通っていると、その都度違う景色に出会える成田山が大好きです。
> はじめまして、素晴らしいブログ見させていただきました。
> 私成田山を研究している老人です。HPを作成していますが、三重塔内の五知如来の写真がなく成田山市の歴史書から映した白黒写真を掲載いたしております。私も一度三重塔の扉が開いていた時がありましたが、後ろ北側のみで五知如来の写真は撮れませんでした。著作権もあろうかと思いますが、出来れば五知如来の写真コピー使用させていただけないでしょうか。
> HPは「好きです 仁王門」でアクセスできます。拙いHPご覧ください。
ご指摘、ありがとうございます。
さっそく本文を訂正いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。