
ご祭神は「大鷦鷯命(おほさざきのみこと)」「息長帯比賣命(おきながたらしひめのみこと)」、
誉田別命(ほんだわけのみこと)の三神です。
「息長帯比賣命」は「三韓征伐」で知られる「神功皇后」のこと。
「誉田別命」は応神天皇のこと。
神功皇后の子で、その実在が信じられる最初の天皇だと言われています。
「大鷦鷯命」は応神天皇の子で、「仁徳天皇」のこと。
民の家のカマドから炊煙が立ち上っていないことに気づいて3年間にわたって租税を
免除し、その間は宮殿の屋根の葺き替えを行わないなど自らも倹約に努めたという
逸話で有名な天皇です。
親子三代が祀られているわけです。


何とも可愛らしい狛犬です。
狛犬と言うより子犬ですね。

手水盤には元文四年(1739年)の紀年銘があります。


まるで散歩中の子犬です


手水舎の隣には先代の(?)狛犬が並んでいます。
風化で表情は分かりませんが、現在の狛犬同様に可愛らしい感じです。
台座には明治2年と彫られています。
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天保九年(1838年)の御神燈。



「社伝によれば天元五年(982)の創建といい、中世には千葉支族大須賀氏の尊崇を
受けて栄えたと伝える。また、明治時代の社寺明細帳等によれば、永長元年(1096)
の古文書を有する旨記されているが、現在は所在不明である。いずれにせよ、当社は
江戸時代以前から続く古社である。」(下総町史 通史近世編 P411)
千年以上の歴史を有する「八幡神社」には、成田市の無形民俗文化財に指定されている
「西大須賀の神楽」と言われる民俗芸能が伝わっています。
「江戸時代より受け継がれてきた獅子舞で、西大須賀のここ八幡神社と耀窟神社
の春の例祭(4月15、16日前の土曜日、日曜日)に西大須賀神楽保存会によって
奉納されます。現在下総地区で唯一伝承されている獅子舞であり、『剣の舞・悪魔払い・
怒(病気・怪我などの患部を噛んで治す治療の舞)』の3部で構成されています。
耀窟神社の湯立て神事と古くから同一行事であったと考えられており、伊勢系の神楽
として古式様式を残す貴重な民俗芸能です。」(境内の説明板)

(布舞)

(剣の舞)
(「ぐるり房総」の「ゼンマイねずみ」さんから許可をいただいて転載しました。)
西大須賀の神楽(ぐるり房総)⇒
初日は村々を神楽櫃(かぐらびつ)を曳き回して八幡神社に向かい舞を奉納します。
二日目は神楽櫃を曳き回した後に耀窟神社(ようくつじんじゃ)で湯立て神事が行われ、
舞が奉納されます。
(「耀窟神社」へは次回訪ねる予定です)

本殿もなかなか大きな造りで、見事な木組みが見えます。

鰹木は3本で男神(「誉田別命」「大鷦鷯命」)を表していますが、千木は水平切りで
女神(「息長帯比賣命」)を表しています。

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拝殿と本殿を囲むように多くの祠や崩れた板碑・石碑が並んでいます。



割れて倒れた板碑にはびっしりと漢文が彫られています。
読めるところだけを拾い出すと、(写し間違いがあるかもしれません)
「宗祗者紀伊産姓中臣氏・・・・・充母藤氏也祈乎玉津島神・・・・・祗也自童而・・詩歌全是
・・・・・東常緑而・・和歌衆集・・・・・比曳杖乎東国而既過乎駐乎詩歌而・・後人感焉・・・・・
春也余旅遊乎此也・・・・・右飯塚・・・・・」 と読めます。
裏面に和歌のような文字が見えますので、誰かが詠んだ和歌についての板碑なのでしょう。
(掘り起こして読んでみたい誘惑に駆られますが、それはルール違反ですね。)
崩れた祠や板碑



「猿田彦大神」。
猿田彦は天孫降臨の際に道案内をした神で、道祖神と同一視されます。
鼻の長さが七咫(咫は親指と中指を広げた長さ)もあったと伝えられることから、天狗の
原型であるとも言われています。

昭和13年に建立された、当時の農林大臣・島田俊雄題掲とある「櫻井直蔵翁頌徳碑」。
この地域の治水事業に功績のあった人物のようです。


裏参道の鳥居。
こちらが県道に面していて、表参道のように見えますが、この奥の道から入るのが
表参道になります。


神社の前には田んぼが広がり、その先に根木名川の堤防が見えています。
ほんの少し右手に行けば、利根川との合流点になります。


「天正十九年(1590)には、徳川家康から一〇石の土地を与えられ、以後幕末に至るまで
朱印地として継続した。」 (「下総町史 通史近世編 P411)
平地に鎮座している「八幡神社」の境内には、根木名川からか、それとも利根川からか、
さわやかな川風が吹き抜けて行きます。

※ 「八幡神社」 成田市西大須賀1426
JR成田線滑川駅から徒歩約40分
コミュニティバス(水掛ルート)がありますが、本数がありません。
県道161号線の裏側の道が正面です。 駐車場あり(5台)。
愛嬌がある狛犬には何回も会いましたが、どうしてこんなかわいい
狛犬にしたのか、明治時代の制作者に聞いてみたいものです。
神社も古くからご由緒のあるようで、地元に根付いているのでしょうね。
ご紹介されありがとうございました。
ありがとうございます。
初めて見た時は思わず笑ってしまいましたが、
こんな狛犬も良いですよね。