
この神社のご祭神は、「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」「別雷命(わけいかづちのみこと)」
「宇賀之御魂命(うかのみたまのみこと)」「天児屋根命(あまのこやねのみこと)」の四神で、
後に「菅原道真」が加わりました。
素戔嗚尊はその粗暴な振る舞いから天照大神を怒らせ、天岩戸に隠れさせてしまった
張本人で、八俣遠呂智を退治してその尾から三種の神器の一つである草薙剣を取出す
など、逸話の多い神様です。
別雷命は上賀茂神社のご祭神で、雷を別けてしまうほどの力を持つ神様。
宇賀之御魂命は穀物・食物の神様で、伏見稲荷大社のご祭神で、稲荷神(おいなりさん)
として信仰を集めています。
天児屋根命は春日権現とも呼ばれ、祝詞の神・出世の神様です。
この四神の組み合わせの理由や経緯については、私には全く分かりません。

創建の年代は不詳ですが、千葉県神社名鑑に、
「奈良時代の天平勝宝年中に祇園・稲荷・加茂・春日の四神を祀ったのが始まりという」
とあるそうなので、1270年近い歴史があることになります。
鳥居は昭和41年に建てられたものです。




見慣れない表情の狛犬です。
でも、よく見るとどことなく愛嬌があるような気もします。


鳥居をくぐって直ぐ左手にある「青面金剛(しょうめんこんごう)」。
元禄十七年(1704年)と記されていますから、300年以上も前のものです。
見ざる・言わざる・聞かざるの三匹の猿は、まるでお神輿のように金剛を担いでいます。
さて、この元禄十七年は3月には宝永に改元された年で、前年に死者二十万人を
超えたと言われる元禄の大地震があり、3年後の宝永四年には富士山の大噴火
(宝永の大噴火)があるなど、天変地異が続いていた時代でした。
青面金剛は主に関東地方で庚申様の名で親しまれています。
もともとは疫病をもたらす疫病神として恐れられていましたが、その後帝釈天の使者
として病魔を祓ってくれる存在と変化してきました。
不安な世情を振り払おうとの思いで建てられたのでしょうか。


青面金剛の向かい合う形で三峯神社があります。
(扉に書かれた墨書がほとんど消えていますが、三と山が上にある文字が読めますので、
三峯神社でしょう。)
明治26年の紀年名があります。

拝殿で何やら祭礼が行われています。
10人ばかりの人が神主さんを囲んで集まったりばらけたり・・・。
法螺貝の音も聞こえました。
よそ者が近づいては失礼と思い、鳥居の下で祭礼が終わるのを待ちました。

「下総町史」には「下総町の社寺と石宮」からの引用として、
「本来は檀林寺の鎮守として須佐之男神を祀っていたものへ、愛宕・天神・稲荷を
合祀したとする見解もある。」(P413)との記述もあり、四神の組み合わせには
諸説があるようです。
なお、明治43年に菅原道真の「天満宮」を合祀した記録は残っています。

開け放たれた拝殿からは本殿が見えます。


本殿の屋根には千木・鰹木はありません。
拝殿が最近建て替えられたものであるためか、比較するととても重厚に見えます。


天満宮 →

この2つのお宮にはどこにも名前がありません。
祭礼が終わった氏子の方に聞いてみましたが、「大きい方はキノミヤサマと言っているが、
詳しいことは分からない。小さい方は確か天満宮。」とのことでした。
「もう祭礼もほとんど参加する人がいなくなった。オレらの時代で終わりだな・・・。」
鳥居をくぐりながら振り返った老人は寂しそうに呟きました。



写真を撮っている傍を小鳥が飛び跳ねています。
近づいても恐がる様子を見せません。
鳥には詳しくありませんが、図鑑で見るとセキレイかカワラヒワだと思います。
雑木林に囲まれたこの神社は、格好の餌場なのでしょう。
※ 「地誌のはざまに」を書かれているKanageohisさんから、これは「ジョウビダキ」のオス
だと教えていただきました。 地誌のはざまに⇒
あらためて図鑑を見るとピッタリその通りでした! ありがとうございました。

雑木林に分け入ってみると、ところどころにこのような崩れた石碑のようなものが、
枯葉に埋もれて散乱しています。


この「四社大神」に関する資料はほとんど見当たりません。
わずかに残った高齢の氏子に細々と守られはいますが、やがては忘れ去られて
しまうのでしょうか。
奈良時代に創建されたのだとすれば、どこかに埋もれているであろう資料を
掘り起こせば興味ある歴史が現れてくるはずです。

※ 「四社大神」 成田市大菅162
JR成田線滑川駅より徒歩約30分
前回紹介した檀林寺と隣り合わせの場所にあります
この鳥はジョウビタキのオスですね。銀色の頭が老人の様に見えることからその名があります。
一部の大きな寺社を除いて、地域の鎮守は何処もこういう状態ですね…。
ありがとうございます。
あらためて図鑑を見るとその通りでした。
さっそくブログに加筆させていただきました。