
「檀林寺(だんりんじ)」は浄土宗名越派のお寺で、山号は「梧桐山(ごどうさん)」、
院号は「光明院」。
「寺伝によると天平神護2年(766年)、良辯上人を開山とし、智証大師の中興を経て
天台寺院となりましたが、その後正和元年(1312年)浄土宗名越派大空上人により
再興されたと伝えられています。 本尊阿弥陀如来は台座に仏師定慶の銘があり、
境内には建武2年(1335年)を最古とする板碑十数基があります。 現在の本堂は
江戸期の火災後再建されたものです。」 (山門前の説明板)


階段を登ると質素な山門が迎えてくれます。

「寺伝によれば、天平神護2年(766)良辯上人を開山とし、智證大師の中興を経て
天台宗寺院となったとされているが、天台時代の記録等は他にない。
その後、堂宇荒廃していたが、正和年間(1310頃)浄土宗名越派祖・尊観上人の弟子
大空上人によって再興され、浄土宗寺院となったと伝えられる。
この地は浄土三祖・良忠上人に縁のある鎌倉桐ヶ谷に地形が以ており、大空上人、
二世恵観上人の努力で、境内の諸堂が整備され、またこのとき鎌倉光明寺に因み
院号を光明院として、僧侶の初期の学問寺院とならんことを願い寺号を檀林寺と
号したといわれる。
江戸時代には3つの坊に常時数十人の青年僧が修学・修行していたと伝えられる。
尚、境内には建武2年(1335)銘を最古とする十数基の板碑が点在し、当時の繁栄を
知ることができる。」
(浄土宗千葉教区Webより)
浄土宗の寺院になってからでも700年の歴史があり、寺伝によれば1250年もの
歴史を有するお寺です。
寺の名前の「檀林」とは僧侶の勉学所のことで、このお寺も小さいながら若い僧侶の
修行場であったようです。


派手さはありませんが、ダイナミックな龍の彫刻です。

板碑の形をとった説明板。
山門への階段脇にあった木製の説明板と同じ内容です。

本堂に向かって左手にあるお堂。
何の説明もありませんが、中に如意輪観音像が安置されているのが見えるので、
観音堂なのでしょう。

観音堂の隣にある小さなお堂には、風化でお顔の判別もつかない仏様が祀られています。


小さな観音菩薩像。
風化と補修痕のため、刻まれた文字は爲の一文字のみしか判読できません。


この石碑には深くしっかりした彫りで南無阿弥陀仏の文字が刻まれています。
側面に江戸の宮三左衛門ほか、~六郎、~兵衛門の名前と仏様が彫られ、宝永二年
(1705年)の紀年銘があります。


歴史あるお寺だけに、墓地には古い墓石が目立ちます。
寛文、宝永、延享、安永、寛政、文政などの年号が記されています。

本堂から少し離れた境内の地続きに建つ民家(ご住職のお宅でしょうか?)の庭先に
大小十基の板碑が並んでいます。
近づきたいのですが、残念ながら、通路に太い竹を渡して庭へ入ることを拒否する強い
意思が感じられて、離れた所から望遠で撮影するしかありません。



資料によると、一番古いものは建武二年(1335年)の十三仏の板碑で、以下暦応二年の
五仏板碑、貞治四年(1365年)の二仏板碑、応安三年(1370年)の三尊双式板碑、
応安四年(1371年)の阿弥陀三尊板碑等です。


帰り道に山門の脇に3基の石仏が埋もれているのを見つけました。
文字は読み取れませんが、合掌しているように見えます。

この地は成田市との合併前には香取郡下総町でした。
「下総町史 通史近世編」を拾い読みすると、
「『郡誌によれば「仏舎利は称徳天皇の御蔵に係り』、後江戸時代に『豊後木村(杵築)
城主松平重賢日向守の喜捨するところと為す舎利塔銘あり之を詳らかにす』とある。」
「明治二十八年(一八九五)の『神社寺院取調書』には、本尊阿弥陀如来は慈覚大師
の作、腹籠は一寸二分の釈迦如来で弘法大師の作、大永二年(一五二二)に下野国
芳賀郡七井村(益子町)正法寺から移した旨記されている。」
とあります。
いずれも伝承の域を出ないので、その真偽のほどは分かりません。
また、このお寺が浄土宗に改宗したのは「徳治元年(1306年)で、良安上人による」
との記述も見えます。

長い歴史を有する「檀林寺」は、その名の通り若い僧を育てる「檀林」であっただけに、
もっと多くの歴史的な遺物があってもおかしくないと思われますが、たまたま居合わせた
古老の話では、修復もままならない状況の中、こっそり持ち去る不届き者がいるようで、
いつの間にか見えなくなってしまったそうです。
歴史が消されてしまった思いです。
板碑を庭先に集めてセメントで固めたのも、悲しい防衛策なのでしょう。

※ 「檀林寺」 成田市大菅167
JR滑川駅より徒歩約30分
コミュニティバスしもふさ循環 大菅下車徒歩1分(本数少)
駐車場はありませんが、駐車スペースはあります。
※ 檀林寺は以前訪ねた名古屋の小御門神社と滑川の龍正院
との中間地点にあります。3ヶ所回って4時間コースです。
小御門神社 ⇒
龍正院 ⇒
私もこれから寺社に訪ねるときの細かな視点の中に眠る記録を垣間見れそうな気がしてきます。深く掘り下げてパワースポット巡りを楽しみたいと思いました。ありがとうございます。
いつもコメントをいただき、ありがとうございます。
メジャーな社寺はある程度回りましたので、だんだん資料の少ない
場所が多くなってきました。
それはそれで小さなヒントを見つける喜びがあって、良いものです。