昨年10月14日に掲載した「須賀神社と清龍寺、道を挟んだ神社とお寺」の時の
須賀神社と同じように、当てもなく移動していて偶然出会った神社です。

細く、曲がりくねった山道の途中に「須崎神社」は突然現れました。

神明鳥居が重なるように2つ建っています。
手前は石造りですが、後ろは木製で控柱が付いています。
木製の鳥居が傷んだので、新たに石造りの鳥居を建てたのでしょうか。

訪れる人もいないようで、参道には落葉が積もっています。
拝殿脇の説明板にこの神社の由来が書かれていました。
「堀籠部落の鎮守様である この地を大伯天須崎と呼ぶ 須崎神社の名わ地名によるもの
元亀年間四百年前此の部落に 悪病流行して死者續出 住民が恐れ香取神宮に祈願
神宮の祭主経主の命を奉紀致したもので在る 其の后二回の火災に合う 現在の社わ
明和八年 二百年前に再建したもので在る 創建に当り当時村の有志三仁門さんが
特別の御奉仕された事が明記されております」(文章はそのまま)
元亀年間(1570~73)に創建されて、明和八年(1771年)に再建されたという
歴史ある神社でした。
ご祭神は経津主神(ふつぬしのかみ)。
この神社の歴史をもう少し詳しく調べると、元亀三年(1572年)に創建され、翌天正元年
(1573年)に社殿が完成しましたが、文禄四年(1595年)に兵火で焼失し、慶長八年
(1603年)に再建されましたが、正徳二年(1712年)野火で再び焼失。
享保二十年(1735年)に再建され、明和八年(1771年)改築して明治時代に至ります。
「大栄町史・民俗編」(大栄町史編さん委員会編 大栄町発行)によれば、須崎神社は
堀籠地区の産土様(ウブズナサマ―村の神様)で社格は8級とあります。(P154)
毎年神社庁に納める負担金は社格によって決まっていて、8級は最下級の兼務社です。

拝殿は開け放たれて、吹きさらし状態です。

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風雨に晒されて大分傷んだ古いお神輿が無造作に置かれています。
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「願主 當村善男女」と記された、天明元年(1781年)の宝塔。

神額には「赫日流輝」(かくじつきをながす)と書かれています。
これは夏の暑い日が強く光を放っている様を表す言葉で、中国の魏晋南北朝時代の
文学者・陶淵明の詠んだ漢詩です。
漢魏六朝と言われる漢詩の詩体の一種で、韻律や文字数に制約のない、自由な形式です。
どうしてこの漢詩がここに掲げられているのかは分かりませんが、明治の戦役記念という
文字が見えますので、地元出身の兵士を顕彰して掲げられたようです。


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本殿は部分的に補修が行われています。
再建されてからも240年以上経っていますから、傷みも激しかったのでしょう。
本殿の周りを囲むように、沢山の祠が並んでいます。
明治41年に浅間神社(ご祭神・木花咲姫命)、鳳凰・吾妻神社(ご祭神不明)、八幡神社
(ご祭神・誉田別命)、天満神社(ご祭神・菅原道真)を合祀したという記録があります。
(大栄町史)

「天満宮」です。
大正11年と記されています。

「駒形神社」です。
大正9年と記されています。


崩れて判別できないものもあります。

「八幡大神」です。

千木は垂直切り、鰹木は3本です。


境内の脇に荒れ果てた名も無い祠がありました。
中には小さなキツネの置物が・・・。
稲荷神社だったのでしょうか?


裏山の中に何やら祠のようなものが見えます。
近づいてみるとやはり小さな祠でした。
辛うじて「石宮」の二文字が読めました。
石宮神社という名の神社は松江や磐田、新潟などにあるようですが、あまり関連が
あるとは考えられません。
大木の根元で半分土に埋まり、幹にものみ込まれそうな姿は、玉造の六角堂にある
「木隠れ観音」を思い出させます。
宝徳寺観音堂 ⇒


鳥居の下に種字が彫られた欠けた板碑が2基。
一つは割れて倒れています。
きちんと調べれば、興味深い歴史が浮き出てくるかもしれません。

参道の手前に二つの道祖神が並んでいます。
文化四年(1807年)と読めました。


堀籠は成田市の外れ、すぐ先は香取市と神崎町との境です。
江戸時代には「大白天」と称していましたが、明治6年に「須崎神社」と改称しました。
山中の鬱蒼とした森に包まれ、日陰で湿気の多い須崎神社ですが、調べれば
まだ何かが出てきそうな興味深い神社でした。

※ 「須崎神社」 成田市堀籠840
京成成田駅中央口より千葉交通バス 佐原行き
桜田権現下車徒歩約30分
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コメントをありがとうございます。
ある程度知名度のある神社やお寺は収入もあって維持管理ができていますが、
大部分は過疎化や少子化の影響で氏子や檀家が減り、修繕したくともできずに
荒れて行くばかりです。 今のうちに記録を残しておかないと、いずれ消えて
しまいそうで焦る気持ちがあります。